そんな話を聞いてから俺は毎日彼女の事を考えていた。

と言うより、気になってしかたなかった。



ある日、俺は授業をサボって保健室のベッドで昼寝をしていた。


「ゲホッ…ゲホッ……ッ」


「…―――。」


「ゲホッゲホッ…うッ…。」


さっきから隣のベッドから咳をする声が聞こえてきて
なかなか眠れない。

苛々してきた俺はカーテンをガラッと開いた。


「チッ、うるせーな、だれ……」


そこにいたのは顔を真っ青にして、苦しそうに咳をする彼女…

本田明日香だった。


「ゲホッゲホッ…ご…ごめんなさい……ゲホッ」


彼女は苦しそうに俺を見上げると一瞬ビクッとして、
さっきまで真っ青だった顔が一気に耳まで真っ赤になった。


『……………。』


彼女も俺も、お互いにびっくりして急に黙りこくってしまった。


彼女の苦しそうな咳声だけが静かな保健室に響いた。