しかし、10分経っても20分経っても兄ちゃんは戻ってこない。


"兄ちゃん、早く戻ってきて"


不安で不安で仕方がなかった。


舞がウトウトしてきたのを見計らって、俺は静かに下に降りた。



リビングに行ってみたが、そこに兄ちゃんの姿はなかった。


ただ、キッチンには俺達のコップだけではなく、皿やご飯が入ったままの炊飯器、スプーンやフォーク、キッチンに置いてあるもののほとんどが散乱していた。



そしてリビングをそっと覗いた。


そこには床にペタリと座り、無表情でどこか一点を見つめている母さん。


表情は変わらないのに瞳からはボロボロと大きな粒が流れていた。


「お母さん‥‥」