「んもおー亮太ったら何なのよ〜」


俺が急に止まったり腕を振り払ったりした訳がわからないからか眉間にシワを寄せる女。


よく考えたら今更腕を振り払ったって、あいつはこちらをもう見ていない事に気付いた。


“なにやってんだ‥”


最近の俺の行動は自分でもよく分からない。


「はぁ‥」と、溜め息をついてまた歩き出す。


横を通りすがる瞬間、本田明日香の顔をチラッと見てみた。


その表情は、心なしか元気がなく、悲しげな表情で俺を見つめていた。


“ドキッ‥”本田明日香のその表情を見ていると、なぜか胸の奥が締め付けられて苦しくなった。