「死んでやる」

 館林宮乃《たてばやしみやの》は決心した。

 とりあえず、死んでやる。

 死んで呪ってやる。

 そんな物騒なことを誓って、どうやって死のうか部屋の中を見回した。

 狭苦しいのが嫌いだからと親に買ってもらったセミダブルのフロアベッド、クローゼット、ミニコンポに電話の子機、CDとコミックスがほとんどを占めている本棚、そして、いま座っている椅子と机。

 あまり自殺するのに必要な物は見付からなかった。

「だいたい……」

 そう、だいたい、サトシのほうから声をかけてきたのだった。

 ある晴れた日の放課後、部活も終わって帰ろうとしていたあのとき呼び止められ、告白されたのだ。友達のいる前で……

 宮乃自身、サトシの事を悪く思っていなかったから、軽い気持ちでOKを出した。

 男友達としては楽しい奴だった。