みんなが食べおわった頃を見計らって、潤は話をもとに戻した。 「太郎、聞いて」 口からでた自分でも思いもよらなかった優しい声。 絵本を読み聞かす母のような気分。 「このお話は、失敗作なんかじゃないよ」 これまでの人生の中で一番優しい笑顔なんじゃないかってくらい、優しくほほえんだ。 「このお話は、鬼と、町の人たちが協力して、生きていく。そういう結末がいいと思う」 緒方は何も言わない。 なにか言いたいことはあるばずだ。 でも何も言わなかった。