近くにあった段差に腰掛けて振り返ってみた。
今緒方が何をしているのかは知らない。
もしかしたらこの先、偶然緒方に出会うかもしれない。
本人かもしれないし、名前だけと出会うかもしれない。
先のことばかり考えているからなのか、今のことが全然見えていなかった。
「潤ちゃん!」
まどかが息を切らしてあたしの下に駆け寄ってきた。
「ごめんね。待たせて」
「ううん」
さっきよら落ち着いている。
――いける
「ごめんね。この前酷い事言って」
思ったよりもスムーズに口から滑りだした言葉たち。
まどかは驚いた顔をしている。
「用件はこれだけ。ほんと……ごめん」
なんとなく恥ずかしくなってきて、あたしは急いでまどかに背を向けて歩きだした。
「っ、……ねぇ!」
まどかの声が多分あたしを呼んだ。
でも振り返ることはできなくて、その場で立ち止まった。
「潤って呼んでもいい?」
「……好きにしなよ」
「うん!好きにする!」
END


