分かってた。 こんなことはどうしようもないことくらい。 でも、自分ではどうしようもなくなってしまった。 「う「人は!」 潤、と呼び掛けようとした緒方の声を潤の大きな声がさえぎる。 「人は無くなってから大事なものに気が付くの」 潤もそうだった。 両親がいることはあたりまえだと思っていた。 でも、いなくなるとそれが全然当たり前じゃないことに気が付いた。