目を開けるとそこにいたのは、確かに“彼”だった。 分かるのは男の子ということだけ。 見たことのある顔ではない。 たぶん知り合いではない。 チラッと緒方を見れば緒方も不思議な物を見るように彼を見ていた。 「君は?」 緒方が聞いた。 こんな時、教師という職業は子供の扱いがうまくて助かる。 潤は黙りを決め込むことにした。