INCOMPLETE A PICTURE BOOK




「わたしはすべてを知っています。これからどうなるのかも、そして、潤さんのお父様が何を言ったのかも」





潤も緒方もドキッとした。


何もいっていないのに。




「それでは行ってらっしゃいませ」




空が絵本を開いた瞬間、眩しい光が二人を包んだ。





二人のいなくなった場所を眺めながら、空は呟く。




「わたしは過去も未来も知っている。知っているんです。でも変えられない」




空のその呟きは悲しさを響かせていた。


どうにもならない無力感。


「わたしには祈ることしかできない」


二人が争わないことを。