そして連れて行かれたのはさっきまで私が見ていた西野君の所。
でも、西野君は何故かいない。


「タケー、坂口連れてきた」

「ちょっとちょっと、おびえてんじゃんこの子」

「はあ?うちら優しく誘導したし」

「えーっと、坂口雛乃ちゃん?」


無視すんな!というさっきの巻き髪の子の声の後、私は「はい」と返事をした。
ていうかこの人って……さっきの金髪の人!
すごく怖そうなのに、優しい口調で喋ってるから少しホッとした。


「ふーん、まあ亮太が惚れるのも無理なさそう」

「へ?」

「あーちょっとタケ!それ禁句だって」

「あ、ごめん今の忘れて、雛乃ちゃん」

何の事かさっぱりわからずに、私はとりあえず「はい」と返事をした。

「ていうか、うちらと一緒にいなよ。
 うちらこんなんだけど、坂口さんがそれでよければ」

さっきの黒髪の女の子がふわりと笑った。
私は自然に心が暖かくなった気がした。

「うん、いる。一緒にいる」

わたしが力を込めて言うと、皆大笑いした。

「私は真由。マユって呼んで」

「うちは優子。ユウコでいいよ」

「俺はタケ」

「僕はユウキ」

黒髪の女の子は真由ちゃん、巻き髪の子は優子ちゃん。
金髪の人がタケで、その後ろにいた黒髪の静かな人がユウキ。

なんだか高校生活、すごく楽しくなりそうな予感!

でも、これは西野君のお陰だよね。
西野君に有難うって後で言わなきゃ!