「ゆずゆ……か、」



それは、とある日のことであった。

おぬしは何を少しばかり黄昏ているのか。


吾が輩を腹の上に乗せてベッドに横になりながら、窓へと視線を投げている。



あの日は凪兎という飼い主のところへ遊びに行った。

最も吾が輩を可愛がってくれる人間である。



「むこうは気づいてないんだよな、俺のこと」

だがしかし、可愛いからといって吾が輩の顔を左右に引っ張るのはやめてほしいものである。


「なんで、こうなるかなぁ」

悩み事があるなら、吾が輩に相談すべきである。

さぁ、なんなりと申すがよい。



瞳で訴えてやると、凪兎は口を開いた。



「今日、ゆずゆってコに会ったんだ」


ゆずゆ、とな?

それは奇遇、よく亜蓮という少しばかり意地の悪い人間から話を聞く。



「ゆずゆの友達が、蓮を持っててさ。
たぶんだけど、ゆずゆは黒蓮華なんじゃないかなって」


なるほど。