そのせいで俺の気分が悪くなっているなんて、あいつは知るよしもないだろう。




「何が大変なんだよ。うまく出来たってさっき言ってただろ?」




すると、神南が俺の手をキュッと握った。


嫌じゃないけど…距離が近くなったおかげで甘い匂いもきつくなった。

手を引っ込めてしまいそうになったのをなんとかこらえる。


神南が俺を見て言った。




「私、紫月さんのこと好きすぎて、ケーキ激甘にしちゃいました」




そう言った後、「ごめんなさい」と「でも激甘イコール私の気持ち、ということなので全部食べてください」という言葉を付け加えた。

…今度は、けっこう真顔で。