「朔弥のじゃないから」
慌てて背中の後ろに隠す。
「別に取らねーよ」と朔弥は笑った。
「で、俺のは?」
「ないよ」
これは即答。
目の前に出された朔弥の手を軽く叩いた。
「ないのかよ。俺期待してたのになー」
「…そういう冗談はいらない」
時々、わからなくなる。
朔弥の本気と冗談が。
今だって何で他には誰もいないのに学校にいたのか、とか、タイミングが良くも悪くも何でいつもあたしの前に現れるのか、とか。
自惚れだけど、あたしは朔弥の気持ちには応えられない。
もう帰ろう、と思って先輩へのチョコレートをカバンにしまって立ち上がった。

