「どうって…」
「朔弥」
朔弥の言葉をさえぎる。
心なしか朔弥の目付きが鋭くなっているような気がした。
泣き出したい気持ちをこらえて笑顔をつくる。
「先輩の冗談だよ」
「は?…」
「先輩も、そんなこと言ったら朔弥が勘違いしちゃいますよ?」
納得いかないって顔してる朔弥も、あたしをじっと見る先輩も、何も言わなかった。
何ともいえない空気を誰もが感じているはず。
…いや、先輩はどうなのかわかんないかな。
「朔弥、帰るね。キーホルダーありがとう」
「ちょっ…稚早!」
あたしを呼ぶ朔弥の声を無視して、先輩のブレザーの裾を引っ張って足早に外に出た。
近くの公園に入ったところで足を止める。
目も合わせないままに言った。
「どうして…あんな言い方したんですか」

