「やっと見つけた」
そう言った朔弥は、あたしの目の前に手を出した。
その手には、ハートのキーホルダー。
…あたしのだ。
「昨日、お前が帰ったあとで落ちてんの見つけたから拾った」
「ありがとう…」
内心ドキドキしてた。
だって、すごく大事なキーホルダーなんだもん。
朔弥から受け取ったキーホルダーをギュッと握りしめる。
これは、恋が叶うお守り。
中が開くようになってて、好きな人の名前が書いてあるの。
…もちろん、先輩の名前。
「ありがと、朔弥…」
見上げると、朔弥の視線はあたしの後ろに向いていた。
そしてあたしを見て、また先輩を見て。
「あのさ、」と言いながら、またあたしを見た。

