ケーキを一口食べて、榊は柔らかい笑顔を見せた。 「とても、おいしいです」 榊。 私は我慢したでしょう? ずーっと、ずっと。 手のかからないお嬢様だったでしょう? わがまま言っても許されるはずよね。 そうでしょう? 『榊』 愛しい人の名前。 こんなにも愛しく呼ぶ瞬間を、私はずっと待っていた。