当たり前だけれど、お相手はこの執事じゃない。 どこかの、何かをしてる会社の御子息様と。 こんなこと言ったら、「失礼でございますよ、お嬢様。もう何度もお会いしていらっしゃるのに」とか言いながらも、榊は小さく笑うでしょうね。 それが嫌なのよ。 私の気持ちを知っていながらの言葉だから。 婚約をしているあの方はとても優しいの。 …優しすぎて疲れちゃうくらい。 私、本当は結婚なんてしたくない。