その場で立ち尽くして 考えていると、 後ろからヒールで歩く足音が聞こえた。 やがて僕の前で足を止めて 手を差し出してきた。 髪を綺麗に巻いて 濃いめの化粧 それに不似合いな 何かを拒絶する冷めた瞳。 「…それ、私の」 僕の持っている携帯を指差す。 「あぁ。」 携帯を渡すと 「どうも」 と素っ気なく礼を言って去っていった。