私は商店街を見渡した。 もちろん 静まり返って人一人として歩いていない。 スプレーで落書きされたシャッター 薄汚れた壁 薄暗い空。 私は一人でこの道を歩いてる。 私が今 なにをしようと 誰も止めることはない。 カツ… なら、 もういっそ 本当に遠くへ行ってしまおう。 この脚がボロボロになるまで。 私はいつの間にか そう決心し、家とは逆方向の道を歩き始めた。 …なにかを落としてしまったことも気付かずに。