夜獣-Stairway to the clown-

「殺した理由を考えましょうか」

「簡単にむかついたなんてこととかじゃないのか?」

「そういった理由で殺人の傾向がやや上がってきてますが、力を行使してまでリスクが高いことをするでしょうか?」

「そうだが」

「力を行使する理由は何かを試したいなどがあげられます」

「試す?」

「集合する前に少し調べたんですけど、力の行使の仕方に荒さが見られましす」

「荒さなんてあるのか」

「慣れれば手際が良くなり、使い方も自由自在になります」

「その言い方だとお前もそれなりに使えるようだな」

「それなりには使えますが、話を戻しましょう」

「ああ」

「確証は得ていませんが、荒さからみると殺した理由は能力の確認でしょうね」

「覚醒し始めか」

「昨日が初めてかもしれません」

「人を殺すことに何のためらいもないのか」

「わかりません。犯人がどのような気持ちで殺人を犯したなど今の状態で理解できません」

「ホームレスとの関係性もないようなものか」

「実験するならば誰でも良いのでしょうけど、ホームレスだからこそ都合がいいのかもしれません」

「そうか」

それにしても、一日でこんなことになるとは思いもよらない。

「今日もやると思うか?」

「安全を考えればやらないでしょう」

初日から見つかる勢いだし、何も考えてなさそうな犯人のことならばするかもしれない。

「安全なんか考えてなさそうだな」

「でも、犯人の特定には相当な時間は労するでしょう」

能力を使えば、その場には何も残らないということだろうか。

「安全など必要ないのかもしれないということか」

「形跡を残すようなミスをする犯人なら話は別です」

「ここには何も残ってないってことじゃないのか?」