夜獣-Stairway to the clown-

「駄目だ」

「はい?」

「出来ない」

「なら止めにしましょう」

「いや、それも出来ない」

「あなたは犯人に何をするために探すつもりなのですか?」

「別に何も、戦うことだけが全てじゃないとは思う」

「話し合いで済むとでも?」

「話し合いをするつもりもないかもしれない。今日は視察ってやつさ」

「いいです。ですが、死合うことになれば逃げる、逃げ場所がなければ私を置いて逃げる、それは心がけて置いてください」

「お前はやっぱり心が広いよ」

やることを絶対に止めさせようとはせず、それでも気遣ってくれるくらいの気持ちがある奴が心の狭い奴とはいえない。

「では、昨日の事件現場にいってみましょうか」

「ああ」

そういう流れで、ここからそう遠くない事件現場に二人で向かうこととなった。

 

数分たち、事件現場につくとそこには黄色いテープが張られており、中へ入ることが出来そうにない。

「何か感じるか?」

「血族の気配は感じません」

「ここにはいないってところか」

「ええ」

そうなってくるともう聞き込みしかないかもしれないが、今の雪坂は銃刀法違反である。

夜中に弓をもって歩いてるなど、危ない奴に間違えられかねない。

警察に見つかれば即アウトになること間違いないだろう。

「同じ場所に二度も来る奴もいないわけだな」

「そういうことをする犯人もいないわけではないですが、人間心理からすると来ることはないですね」

「近場から洗っていくか」

僕たちは影から影へと移動するように、、慎重に行動することとなった。

しかし、どこへ行けばいいのかまったく分からなかい。

「犯人の目星なんかついてないんだよな」

「まだ始まったばかりじゃないですか」

自分がそういう探偵ごっこはあまり得意ではないことを今思い出した。

「移動する前に少し考えましょうか」