夜獣-Stairway to the clown-

チャイムが鳴り5時間目が始まる。

ここからは一瞬で過ぎ行くように、気づけば終わっていた。

今日の予定はすでに決まっている。

雪坂と共に事を起こした奴を見つけ出すことだ。

犯人に仕掛けるわけじゃなく、見つけたらその時に何をするか考えればいい。

でも、夕方から事を起こすなんて奴はいないはずだろうし、後で集合することにして一旦別れることとなった。

五組から出ると必ずしも三組を通らなければならない。

半年間そうしてきたから違う場所から行くことはする気もない。

僕は堂々と三組を通り過ぎ、靴箱のほうへと歩いていく。

さっさと靴を履き替え、今日のことを考えようと校門に差し掛かったところであった。

「耕一」

呼ばれた方向を向くと、桜子ちゃんが立っていた。

「何でここに?」

「今日は学校の下見」

「下見?」

「ここ受けようと思ってさ」

桜子ちゃんは今年受験だった。

もう十月になったということは、受ける学校も決める時期になってきたのか。

そう考えながら、桜子ちゃんも帰るところだったので一緒に帰ることとなった。

「桜子ちゃんならもっとレベルの高い高校でも入れるんじゃないの?」

「お世辞なんか必要ないって」

「なんでそう取るのかな。本心なのに」

「そ。別に他の高校でもいいんだけど、やっぱり近いしお姉ちゃんいるからね」

「夕子のことうざいとかいってなかった?」

「変なこと覚えてなくていいの。色々と教えてくれるからいいじゃん」

「それだけの理由か」

「別にいいじゃん。耕一にそんなこと気にされたくないね」

「いいんだけど。決まってるなら後は勉強するだけじゃないか」

「まあね。もし受かっても先輩面するのはやめてよ」

「そんなのするか。どうせ通い始めたら桜子ちゃんも友達が出来て話さなくなるさ」

「ふうん、私と話せなくなるって寂しい?」

「さてな」

今までこんな扱いだし、家に来たとしてもアキラと絡んでばかりだから話さないのは、今の状況と変わらないと思う。