余計なことにちょっかいを出してくるのはアキラの昔からの癖のようなものといってもいい。

「そんな顔してるってことは、夕子ちゃんもついにあんたから離れて他の男にでも引っ付いたのかな」

(なんでそんなに鋭いんのかな、コイツ)

僕の顔は苦そうな顔をしていたのか、さらにニヤニヤし始めた。

「で、あんたはどうするの?」

まだ何もいってないのにさっきのが正しいかったと思い、さらに突進してくる。

「どうもしない」

正直、それが本当なのかどうかは僕にもわからないところだった。

「ま、いいけど。夕子ちゃんのこと今まで気にもしなかったもんね」

アキラは心の中の痛いところをついてくる。

「あんたが素直にならない限り、この直線状の関係ももうすぐ終わりね」

その態度でイラっという感情がふつふつとわきあがってくる。

「うるさいな!何しにきたんだよ!」

睨み付けるものの、アキラにはまったく効果をなさないようだった。

「怖い怖い。姉ちゃんは退散しようかな」

立ち上がり、部屋から出て行こうとする。

ドアの前まで来るとこちらを向く、その顔はいつになく真面目だった。

「あんたのことはどうでもいいけど、夕子ちゃんが悲しむ結果になる可能性もあることも理解しといたほうがいいよ」

部屋から出て行くと、パタンというドアの閉まる音だけが残った。

「何が悲しむ結果だよ。あいつは幸せ気分で浮かれてるんじゃねえかよ」

むしゃくしゃした気持ちになりながらも風呂に入り、さっさと寝ることとなった。