「何と言われれば用事は特にないんだ」
「お姉ちゃんなら今いないから」
扉が開いたときと同じようなスピードでゆっくり閉まっていく
「ちょっと待った!」
ドアの前まで駆けていき、閉まるドアの間に足と指を滑り込ませる。
「ひ!」
僕が近づいてきたことに驚いたのか、怯えたのか後ろに尻餅をつく。
「大丈夫か?」
「大丈夫だって!」
少し荒い息をしながら、自分の尻をさすっていた。
「ほい」
立ちやすくなるように手を差し出す。
「何?」
「捕まってくれればいいなっていうので手を差し出したんだけど」
「一人で立てるから」
そうして片腕を地面につけ立ち上がろうとする。
「遠慮するなって」
無理やりにもう片一方の空いた腕をつかみ立ち上がらせる。
「悪かった。昨日の今日でいきなり訪ねてきて、気分も悪いっていうのにな」
「余計な世話やきすぎ、うざい」
自分でもそう思っていた。
閉めようとした時点で今日は人に関わりたくないということは判っていたはずだった。
「まだしんどそうだ、日を改めて来るわ」
自分がまだ腕を掴んでいたことに気づく。
「ごめん。何の気遣いもなくて、って後になっていいすぎだな」
腕を放し、玄関から出て行こうとする。
「ありがとう」
後ろからそんな言葉が聞こえてくる。
振り向いてみると、そこにはうつむき加減の桜子ちゃんが立っている。
「帰らないの?」
「桜子ちゃんならすぐにでも忘れられるはずだよ」
「無責任な台詞は止めて」
「悪い悪い。じゃ」
そういって、佐伯邸から出て行く。
今日のやることはすべて終わったようだ。
「お姉ちゃんなら今いないから」
扉が開いたときと同じようなスピードでゆっくり閉まっていく
「ちょっと待った!」
ドアの前まで駆けていき、閉まるドアの間に足と指を滑り込ませる。
「ひ!」
僕が近づいてきたことに驚いたのか、怯えたのか後ろに尻餅をつく。
「大丈夫か?」
「大丈夫だって!」
少し荒い息をしながら、自分の尻をさすっていた。
「ほい」
立ちやすくなるように手を差し出す。
「何?」
「捕まってくれればいいなっていうので手を差し出したんだけど」
「一人で立てるから」
そうして片腕を地面につけ立ち上がろうとする。
「遠慮するなって」
無理やりにもう片一方の空いた腕をつかみ立ち上がらせる。
「悪かった。昨日の今日でいきなり訪ねてきて、気分も悪いっていうのにな」
「余計な世話やきすぎ、うざい」
自分でもそう思っていた。
閉めようとした時点で今日は人に関わりたくないということは判っていたはずだった。
「まだしんどそうだ、日を改めて来るわ」
自分がまだ腕を掴んでいたことに気づく。
「ごめん。何の気遣いもなくて、って後になっていいすぎだな」
腕を放し、玄関から出て行こうとする。
「ありがとう」
後ろからそんな言葉が聞こえてくる。
振り向いてみると、そこにはうつむき加減の桜子ちゃんが立っている。
「帰らないの?」
「桜子ちゃんならすぐにでも忘れられるはずだよ」
「無責任な台詞は止めて」
「悪い悪い。じゃ」
そういって、佐伯邸から出て行く。
今日のやることはすべて終わったようだ。

