考えるよりも部屋にアキラがいるのかどうか確かめないといけない。

部屋にいるといえば、机の前にいるかベッドにいるか床に座っているかしかない。

ぱっと見でいけば、机の前にいないし床にも座っていない。

ベッドを調べると、布団に膨らみがあり枕には人の頭が置かれてある。

そこにはアキラの姿があった。

近づいていき観察してみると、顔から汗を流し苦しそうなうめき声まで上げている。

「大丈夫!?」

無理に揺さぶるのもなんだから、大きい声を出してみる。

大きい声も負担にしか思えない。

アキラは少し薄めをあける。

「何、勝手に、入ってきてるの」

苦しそうだけど、意識はちゃんとある。

気づいたことに、薄目から見える紅い目は未だに治っていない証拠である。

「いつから?」

「え?」

「いつからだって聞いてる」

昨日ではこんな弱々しい様子はなかった。

「今朝からかな。起きた途端こんな様子、たまんない」

はあはあと息を切らしつつも、必死に質問に答えてくれる。

あまり見たことのない姿に自分の情けなさに嫌気がさす。

あの時、自分の力で助けていればこんなことにはならなかった。

「バーカ。自分を責めても私が元気になるわけない」

無理やり笑顔を作りながら、僕のせいではないと言い張る。

「まあ、いいじゃん。今更落ち込んだって仕方ない。そういえば学校は?」

「何言ってるの?」

よく人のことを心配できるなと感心できる。

「あんた、まだ入学したばっかじゃん。遅刻とか欠席とかすんなよ」

「そんなこと心配されるまでもない。アキラ、絶対安静にしててよ」

「はは、あんたが、どうにかしてくれるわけ?」

「そんな姿、似あわないよ」

ここにいたとしても、アキラがどうにかなるわけじゃない。

アキラの部屋から出ると、急いで一階に降りて家から出て行く。

行く場所は決まっていた。