今日も朝が来る。

低血圧というわけではないので、ぱっと目が覚めることのほうが多い。

今朝も調子よく起きる。

夜更かしもしないので寝不足の心配はない。

時計を見ても、時間はあるようだ。

いつもなら制服に着替えて一階に下りることにしているのだが、アキラの様子が気になる。

一晩眠っただけで紅い目から治ってるかどうか。

それに願いを込めながら、アキラの部屋のドアの前に立つ。

『コンコン』

一応、ノックはしておく。

「アキラ、いる?」

数秒待つものの、返答は返ってこない。

『コンコン』

もう一度ノックをしてみる。

「アキラー!」

それでも返事がない。

いつもなら一階に降りてるので、先に降りたのかもしれない。

何か嫌な予感もしていた。

その予感というのは何かわからないのだが、血の流れが速くなって騒いでいるというのか、先ほどまではまったくなかった感覚が生まれている。

ドアノブを回すと、カチャリという音とともにドアが開く。

アキラの性格からして、いつも閉めていないのかもしれない。

返事がないということはいないか、何かあって出ることができないかというところだろう。

ドアを開けると懐かしい光景が目に入ってくる。

最近は入らないので、変わっていても気づかないかもしれない。

懐かしいとはいったが、細やかな部分はあまり記憶にない。

小さな正方形の机と横にベッド、その横にはクローゼットと本棚がある。

部屋の大きさは僕と同じなんだけど、こっちのほうがすっきり見えている。

アキラは昔から綺麗好きだった。

潔癖症というわけでもなく、それなりに片付いていたほうがいいという考え方だ。