夜獣-Stairway to the clown-

「何でこうまでして対応が違うの？」

「見た目からして、耕一じゃ敬う気にならないもん」

「そんなの期待してないけど、今日は何しにきたの？」

「アキラさんに会いにきたに決まってるじゃん、わかんないかなあ」

「いいけど。部屋散らかすなよ」

自分の部屋だというのに居心地の悪さを覚えながらカバンを床に置く。

「でさ、アキラさん。今度どこか行きましょうよ」

アキラは部屋にあった雑誌を読んでいたが、それから視線を外す。

「行きたいのは山々だけどさあ、遊んでる暇あんの？」

「お姉ちゃんと同じこと言わないでくださいよお」

「桜子ちゃんは幸せモノだと思うよ。夕子ちゃんが心配してくれて」

「えー、うざったいですよ」

桜子ちゃんは面倒くさそうな顔をしながら、手を振っていた。

「そういうこと言わない。放任主義はそれなりに寂しいよ。な、耕一」

いきなり振られても困るところだ。

何もせずに机に座っているだけだったが、振られているのでアキラ達のほうを向く。

「後ろ押しがない分だけ自分で管理しなくちゃならない」

「耕一生意気だなあ」

「うるさい。アキラに付きまとうのはいいけど、今年ガンバラないと本当に危ないぞ」

「言われなくてもわかってるっての！はいはい、帰ればいいんでしょ」

桜子ちゃんは立ち上がり、部屋から出て行こうとする。

「そこまで送ってくよ」

アキラが後ろから追いかける形で、ドア付近まで行く。

「はい、ありがとうございます」

僕を一瞬冷たい目で見た後、出て行った。

「若いっていうのは何も知らないからだめだな」

人のことは言えないのだが、言ってしまうのも若さゆえのことだろう。

それよりも、やっと出て行ってくれたことにより広くなる。

すかさずベッドにダイブすると、そこに置いてあったビスケットを食べる。