夜獣-Stairway to the clown-

「何でだろうな」

「わかんない、何か考えでもあるんじゃないかな」

深い考えがあるならば語ってほしいものだ。

そうしている内にいつのまにか家の前まで来ていた。

「今日も終わりか」

「そうだね」

学校にいる時間なんてあっという間である。

本当に行ったのかどうか疑わしいものだ。

「じゃあな」

家の前でたむろする気もせず家に入ろうとする。

「うん、明日」

和やかな雰囲気をかもし出した下校だった。

家に入ると、一つ靴が増えていることに気づく。

（今日は来てるのか）

リビングには誰の姿もなく、他の奴らはアキラの部屋にでもいるのかもしれない。

さっさと二階に上がると部屋から声が聞こえてくる。

嫌な予感はしつつも、ゆっくりと扉を開けるとそこには嫌な予感通りの展開が待っていた。

「何してる？」

二人が僕の部屋でのんびりくつろいでいる。

二人とも見覚えがある顔だ。

覚えてなければおかしいくらい顔は合わせている。

「私の部屋二人だとちょっと狭くなるからね」

「プライバシー侵害だといいたい」

「ちょっとくらいいいじゃん。私の部屋より広いんだし」

無遠慮というか、謝る気配さえ感じさせないこのずうずうしさはアキラの専売特許だ。

その隣を見てみれば、もう一人。

三日ほどきてなかったけど、元気な姿は夕子の話どおりだ。

「よ！」

元気な挨拶が僕を迎えてくれる。

「よじゃない。桜子ちゃんまでアキラと一緒になって何やってるの」

「耕一は固いなあ。アキラさんみたいに頭を柔らかくできないの？」

そういえば、僕を呼ぶ時は生意気にも呼び捨てだった。

＋アキラと僕の待遇の違いは目に余るほどだ。