夜獣-Stairway to the clown-

教室には教師が先にいるが怒られることはなく、ほのぼのと授業が始まる。

春のせいかそれとも5時間目というせいなのか、眠気が襲ってくることが多い。

頭の揺れと眠気を感じながら、ノートを見づらい文字で書いていく。

象形文字といっても過言ではない。

教師は寝ているやつに注意する気はなく、寝てるやつは後悔するだろうという考えなのかもしれない。

このまま眠ってしまいたいと思ったが、テストに困るのはさすがに嫌なので気合を入れつつ起きていた。

授業中に眠ってしまったようで、起きれば5時間目は終わっているらしく、教師の姿はどこにもない。

ノートは何を書いてるのかさっぱりで、机にまで何だかわからない線が飛び出ていた。

(だめだこりゃ)

頭を抑えながら、誰かのノートを借りることを決めたのは言うまでもない。

水道のある場所に顔でも洗いにいこうと教室を出る。

雪坂は女子と会話をしている。

五百年も生きてれば人との付き合いかたも、よく解っているんだろうか。

それよりも、何で雪坂の行動を一々解析しなくてはならないんだろうか。

教室から出れば、8組のほうへ向かうか1組のほうへ向かうか2通りある。

8組の前に水道の集まりがあり、もう一つは1組付近にある。

5組なら当然8組が近いけど、3組が気になり1組のほうへと足を向ける。

3組までくると覗いてしまう。

休み時間は10分だが、それくらいの時間ならあるというものだ。

ストーカーじみてるような感じがするが、目をつむってもらおう。

夕子は特に何もするわけでもなく、女子と語っているわけでもなかった。

たまには一人でいたいという気持ちの現われなのか。

視線も乾の方向に向いてるわけでもなく、ぼーっと虚空を見つめているだけであった。

(何か考えてるようだな)

まだ乾を見つめてもらっていたほうが解りやすくてよかった。

どうなってほしいのか自分でもわからない。

乾は本を読みながら休み時間を過ごしている。

夕子の気持ちを考えているのか考えていないのか、態度からして後者だといえるだろう。

(今日くらい誘って帰ってみてもいいかもな)

絶対に考えないようなことを考え出すようになってしまった自分がいる