この学校は何事も普通である。

その定義はどこからくるかといえば成績も中間、内申も中間であれば誰でも入ることができるという、真面目な奴も不真面目な奴も努力をすれば入れそうな新学校である。

夕子は僕より少し上の成績でこの学校に入学したという。

小学、中学、高校とくればもう見飽きたというくらいの勢いである。

この学校に入ったのかは大体の想像はつく。

近いし、自分の成績にも似合えばそれでいいんだろう。

そんな安易な考えで将来は大丈夫なのかと思いつつも他人のことなので、口出しはできそうにない。

夕子とは物凄く仲がいいってわけでもなく、たまに下校したり登校したりするだけである。

下校するのはいいが毎回登校するとなれば、低血圧の夕子ならば3回に1回は遅刻しそうになる。

それはともかく、今日も遅刻しそうになって僕を追いかけてきた夕子だった。

「ひどいな。普通は喜ぶでしょ?」

細い目をしつつ、こちらを見てくる。

「何に喜べって?」

「何にって、一緒に登校できることにだよ」

「はあ?」

誰とといいかけたがコイツしかいないと思い、そこで言葉を伏せた。

「はあ、今更喜ぶ間柄でもなさそうな気はするんだがな」

そういうと、また前に足を出し始める。

一緒の歩幅で、夕子も僕の横をついてくる。

「内心ちょっとは嬉しがってるんじゃないの?」

「あほか」

緊張していたのかどうかは謎ではあるが、それ以降話は続ける気はしなかった。

気づけば僕の足は校門を潜り抜けていた。

校門を抜ければ、そこには同じ制服を着た生徒がわんさかいる。

校門からちょっと進んだところに中庭があり、そこに大きな立て札の中に自分のクラスが載っている。

そこにつけばさらに生徒の数は増え群がっている。