夜獣-Stairway to the clown-

気づけば教師が入ってきており、出席をとっているようだった。

5,6と二時間の授業を淡々と過ごしていくと、放課後を迎える。

放課後は何もすることがなく、部活動に入ることもまだ出来ないようだ。

部活動に入れたとしても、部活動で汗水たらす気は今のところない。

帰り支度を整えると、雪坂はまだいるのかとそちらを見るとすでに姿はない。

さっさと教室を出ることにした。

帰る際に3組を通るので、夕子がいるかどうかを確かめることにする。

自分でも何でと思いたいけど、中学からの日課のようなものだ。

3組までたどり着くと、教室の中を覗き見ればそこには夕子の姿がある。

他の女子と話しながら帰り支度をしている。

すでに友達を作っているのが夕子らしいとも思える。

夕子は昔から友達を作るのが得意分野だった。

待っておくかとも思ったが、昨日のことを思い出してしまった。

(そういえば、乾ってのはどいつなんだろうか)

3組を見回すと、端の席に一人座っている一際オーラを放ってる男がいた。

アイツがそうなのかとも思うと、アイツを呼ぶ女子の声で確信が持てた。

「乾君!ちょっとこっち来て!」

乾はそちらを見ると、近づいていく。

向かった先は、女子と一緒にいる夕子の机だった。

夕子はとても笑顔になっていた、恥ずかしそうにも見えたが喜んでるのかもしれない。

何か話しているようだったが、回りの雑音でまったく聞き取れない。

3組に入るなんて行為、入学早々できるものでもない。

覗いてる僕は怪しいものだと思いながらも、それを止められない。

そうしてること5分程度、乾と夕子は立ち上がり女子たちから離れこちらに歩いてくる。

(やばいな)

急いで目をそらし、そのまま靴箱へと走っていく。

靴箱で下穿きに履き替えると、校門へ向かおうとした。

しかし、運悪く曲がり角のところで、乾と夕子に鉢合わせてしまう。

(もうちょっと早めに立ち去るべきだったか)

そんなことを思いながら無言になっていると、夕子は特に驚く様子もない。