夜獣-Stairway to the clown-

学校を出てから約15分程度が経ったころ。

20階建てマンションや一軒家が立ち並ぶ高級住宅街に出てくる。

(予想的にここに乾の住む家があるのか)

20階建てマンションの入り口まで来ると、ぎこちない手つきで何かを押しているようであった。

1分程度経つとマンションの自動ドアが音を立てて両側に開いていく。

ゴールまでたどり着いたかのように落ち着いた足取りで中に入っていく。

自動ドアが閉まる前に走って夕子の後を追う。

ギリギリ閉まりそうなところでスライディングを決め、滑りながらマンションの中へと入る。

「危ない危ない」

立ち上がると、足についたほこりをパンパンと払う。

上を見るとそこには監視カメラなるものがあったので、ここに居たら警備員に追い出されかねない。

監視カメラをみているうちに、夕子の姿はなくなっていた。

乾の部屋に向かったに違いないだろう。

闇雲に探すよりも、近くにある郵便受けで何階か見たほうが早いだろう。

時間がかかったけど、10階の5号室だということが判明した。

少しまっすぐ進むと左に階段があり、右にはエレベーターが2つある。

楽なエレベーターを使い、急いで10階へと向かう。

隣のエレベーターは10の位置で止まっていた。

10階につきエレベーターから出ると、踊り場になっており、前には階段があり右手からドア分くらいの穴を通り抜けると部屋のほうへ行く道がある。

そこから部屋番号順になっており、1号、2号室というようになっており、一直線なので時間はかからない。

右手の穴のほうから覗いてみると、5号室の前の乾の部屋らしきドアの前に夕子の姿がある。

必死にチャイムを押すけど、出る様子はなかったのか。

不安そうな顔でドアを見つめている。

あんな顔は見たくないのだが、ここから出れば不審に思われかねない。

何かを思いついたようにドアの横にある新聞入れにを開けるとそこから何かを取り出した。

喜んでいる様子を見ると、鍵だろう。

そこまで勝手に探していいのだろうかと思いながらも覗く。