いつもとちがう空気のような。
リュウが低くうなるように言葉を発しただけで
木とか、風が、ざわざわっと揺れている。
そんな気がして、わたしはキョロキョロとあたりを見回していた。
『この者の魂思うがまま、あるべき姿にさせよ』
リュウの独り言のようにつぶやく声に、
あわてて、リュウの方を見た。
すると、リュウは目を閉じて、首をかすかに動かしながら、まだ何か言っていた。
「リュウ?」
なにか、よくないことが起きそうで・・・。
わたしは、しがみつくようにしていた大ちゃんから、少し
手を離して
リュウの方に、近づこうとしていた。
でも
わたしの腕は、がしっと・・・
大ちゃんが、つかんで、離さなかった。
「大、ちゃん・・・?」
今度は、大ちゃんの方を見て、わたしは言った。

