空の竜〜リュウに選ばれし者たち〜

息も止めて、黙ってるわたしたち


彼…は、整った唇を開いて何か言おうとする。



固唾をのんで、口をあけたまま、見守っているわたしたち…



客観的に見たら、かなり間抜けに見える気がする…。




『あ…』




ようやく、何か言うと思って耳をすました。



でも彼は、あからさまに、話を変えるように、明るく笑って自己紹介しだす。




『儂(わし)の名はリュウや! 昔っから、おんねんで!』




笑った顔もきれいだけど、驚くほど気さくに感じた。


ちょっと、ほんのちょっとだよ?


大ちゃんに、似てる。



その瞬間、とくんっと心臓が跳ねた。




「りゅ、リュウ?!」




あわてて、胸のドキリを隠しながら、わたしは言った。



いつの間にか、体も動く…。