触れあった唇は暖かいのに、



冷たくて哀しいキス。



京一との最後のキス。



もう二度と触れる事のない唇。



私は指で京一の唇を触ってみた。


「私京一の事お兄ちゃんなんて呼べないから。」



「いいよ。京一のままで。」


私はうんと頷いた。



「あずみは俺の可愛い妹。そう思えるように努力するよ。」



京一の声が震えていた。



時間がたてばお互いそう思えるのだろうか?



京一を兄として愛せるのだろうか?



「あずみ。」



京一が私の名前を呼び又抱き締める。



これでもうおしまいにするから、



「あずみ数馬と幸せになれよ。あいつバカみたいにおまえの事好きだから。」



分かっているよ。だけどねまだ気持ちがそこにいかないんだ。



「数馬って本当にバカなんだよね。」



でも多分好きだよ。って言うか好きになりそう。



「あずみ素直になれよ。数馬あんなんで結構モテるから。」



かもね。でも数馬は私しか見てないから大丈夫なんてね。



甘いかな?私。