今も忘れられない。



私は京一に抱き締められたまま泣いた。



京一は、「ごめん。」と言って私を抱き締めた手を離し部屋を出て行った。



それから、京一は彼女とは別れたらしい。



でも私に対しては、以前と変わりなく兄として接していた。



私の気持ちは何処へ行けばいいの?



京一に好きと言いたい。



もしかしたら、京一も私を好きでいてくれるのかも知れない。



そんな淡い期待を持ったりしたが、



京一はあれから、私と二人になる事を避け続けた。



そしてこの春、京一は東京の大学へ行く為この家を出た。



その時京一は、「あずみの事はずっと妹として好きだから。」



だったら何故キスなんかしたの?でも怖くて私は聞けなかった。



もうこれ以上嫌われたくなかったから。



我慢をした。



もう笑う事なんて出来ないよ。