この雲は、今京一の住んでいる町に流れて行くのだろうか?



又ため息をついた。



数馬がこっちを見る。



「そんなにため息ついたら、幸せになれねぇぞ。」



「私幸せなんて望んでないし。それに・・・ 」



言うのを止めた。



私の叶わない恋。



これ以上の不幸はない。



もう誰も好きにならないし、恋愛なんて絶対無理。



「あずみなんて顔をしてんだよ。」



答えたくない。数馬の顔なんて見たくない。



「私に話しかけないで。」



そう言うと数馬が席を立ち、私の前に来る。



「素直になれよ。」



私の顔を覗き込んで、私の唇に数馬の唇が触れた。



私はあまりの驚きに声も出ない。



数馬は笑いながら、「外国じゃこんなのあいさつだから。」



ここは外国じゃない。日本だから、私は数馬を睨み付けた。