**葵**


僕はまず謝らないといけなかった。

君に向かって深々と頭を下げる。


「福田さん。昨日はすみませんでした。」


夜中に患者さんの部屋でつい、寝てしまった。

しかも眠っている患者さんを起してしまうという、おまけ付き。

実は僕はかなり落ち込んでいた。こんな失敗をしたのは初めてだったから。


「ちょっと?先生?大丈夫です。それより医者の不養生にならないで下さい。ね?」

「ええ?厳しいな。はい。気を付けます。」


まさか17歳の女の子に、こんな注意の仕方をされるなんて、思ってもみなかった。

でも何故か、嬉しい。