**紫乃**


ここは?

私の目に映るのは、心配な表情を浮かべるママの姿。


「紫乃。気が付いた?どう?まだ痛い?」


痛い?そうだ。私、お腹が痛くて学校の帰り道でうずくまったのは覚えている。

それから。それから?

それからがどうしても思い出せない私の頭を、ママの手が優しく撫でる。

久しぶりに感じたその温もりに、懐かしさと心地良さを感じた。


「うん。大丈夫。」

「さっきまで優衣ちゃんも居てくれたのよ。覚えていない?学校の帰りに紫乃が倒れて、優衣ちゃんが救急車を呼んでくれたのよ。急性虫垂炎だって。つまり盲腸ね。」


救急車?盲腸?