同時に湧き上がるひとつの疑問。私は後先も考えずにその考えを口にした。
「あの。お兄さんも狼になるんですか?」
「はぁ?僕は彼女がいい。って、言うまでは狼にはならない。」
やっぱりお兄さんは、碧と正反対だと思った。
だってあんなに拒否したのにも関わらず、碧は無理矢理私をヤろうとした。
でもお兄さんは、彼女がいいって言うまで狼にはならないと断言した。
やっぱりお兄さんは、優しい人なんだ。
そんな温かな気持ちに浸っていると、お兄さんの姿が私の視界から消える。
あれ?
気が付くとお兄さんは、私の目の前でしゃがみ込んで、腕で顔を隠していた。


