一見、派手な彼女の口から聞こえて来た丁寧なお礼の言葉に僕は驚いた。

顔を赤くしながら僕にペコリと頭を下げる彼女は、とても可愛く見える。


「こちらこそ、なんか悪かったね。」

「いいえ。あなたが現れてくれなかったら私・・・。あの、あなたは?」


ああ、そうか。僕は自分が誰なのかも伝えていなかったことに今さら気が付く。

姿勢を正し、可愛い彼女の瞳を見つめながら、謝りの言葉を口にする。


「僕は碧の兄です。弟がとんだご迷惑を。すみませんでした。」


僕は碧の分まで、深く頭を下げた。