**紫乃**
こんな時なのに、私を心配する先生に腹が立った。
確かに、先生と話も出来ず、会うことも出来なかった時間は、寂しかった。
でも、私以上に、先生は寂しく辛い思いをしていたのに。
私の目の前で、俯き続ける先生を見つめながら、思う。
こんな先生に、私がしてあげられることは何?と。
答えが出る前に、身体が勝手に動いた。
先生の両頬に手を伸ばし、そのまま唇を重ねる。
私の唇で、先生の寂しく辛い思いを吸い取ることができたらいいのに。と、願いながら。
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