マスカラぱんだ



いつもの僕なら、きっとこのまま自分の部屋に戻り、仕事で疲れた身体を癒すためにベッドに潜り込んでいただろう。

でもあの顔を見たら、とてもじゃないけれど、そんな気にはなれなかった。

だって、ちらっと見えた彼女の横顔が可哀想なほど、パンダだったから。

まさか、あの顔で電車とか乗っちゃったりするのか?

それはあまりにも・・・不憫だよな?

そんな思いに囚われた僕は、その彼女の後を急いで追い駆けた。

家を出て左右を見る。

そして駅とは逆の方向に走る、彼女の後ろ姿を見つけた。

僕はしばらくぶりの全速力で彼女を追い駆け、その腕に手を伸ばし掴む。

そんな僕の行動に、彼女はビックリするような大声を上げた。