**紫乃**


ええ?

私、先生に抱き締められている?

先生の胸の中は、広くて温かくて安心できた。

幸せ。このまま、離れたくない。

私は先生が好き。

先生を好きな気持ちで、胸がギュンギュン音を立てる。

痛いほどに。張り裂けそうなほどに。

そんな時に、先生の信じられない言葉が耳に届く。


『紫乃ちゃん。好きだよ。』と。


先生はこんな私を、好きだって言ってくれた。

信じられない。

化粧も上手く出来ない子供の私を好きだって。確かに言ってくれたよね?

先生の腕の中に抱きしめられて、嬉し涙が止まらない。

でも、これだけは伝えたい。

涙でグチャグチャな顔を上げて、先生の優しい瞳を見つめながら、私は自分の想いを打ち明けた。


「私も好き。葵先生だけが好きなの。」