**紫乃**


先生が私を心配して、707号室まで駆け付けてくれて嬉しかった。

そして、ふたりきりになれたことも嬉しい。

でも、お見合いがどうなったのか気になる。気になるの。

私は勇気を出して、先生の顔をじっと見つめた。

お見合いは無事終了?先生はあの瞳さんと結婚しちゃうの?

どんな返事が先生の口から出るのか、ドキドキしながら待った。


「ああ。僕にはもったいないくらいの素敵な人だから、瞳さんの方から断って下さいってお願いして来た。」


先生は私から視線を逸らすと、そう呟いた。