コイビトは

図書館とか、食堂ならすべての学部の生徒が利用するが、そこで出会えたとしても、上手く話しかけられる自信はなかった。


図書館は、そもそも大きな声でなくとも、普通の声だとしても会話がはばかられるところだし、食堂は昼時は混雑しすぎているので、まともに会話が出来る場所ではない。



あそこは戦場だ。




ああ、偶然すれ違ったりしないかなぁ




そんなことをもやもやと考えていた。





そのとき、俺のケータイが震えた。




「もしもし」


『あ、ススキダ? リーフのことだけど』


さっきリーフの練習時間を調べてもらうよう頼んでおいた、軽音の友人からだった。


「あ、うん」


『ちょうど、今部室に来てるよ。これから練習だって。えーと、4時まで』


「え…」