コイビトは

「そ、そうです…! あの、どうぞ、よろしくお願いします!」


「うん、また来るよ。じゃ」


俺は緊張を出来るだけ隠して、ラヴィコの前から去った。

去り際、他の二人を見ると、二人ともさすがにそろそろ片づけをしていたようで、ベースのライが、俺に気づいて笑いかけてくれた。


リディルルは、背中を向けて、俺に気づいてくれなかった。










*              *



彼女たちに、興味がわいた。



好きになったとか、そういうわけじゃない。いや、彼女たちの歌はとても好きになったのだけど、女の子として好きになったわけじゃなくて、アーティストの彼女たちの、ファンになった。



どうしてかわからないけど、彼女たちの音楽は、何か、俺を…ざわざわさせる。


上手く言えない。


好きなんだ。


好きではあるけど。



ざわざわする。