コイビトは

その日一日、学校では常に周りをきょろきょろと見回して、彼女たちに、誰か一人でも会えないか、探していた。


しかしいくら何でもそれは都合の良い話である。


俺はその日は、彼女たちどころか、友人にもほとんど会うことがなく、ほとんどの時間を一人ですごしていた。


帰り道、今日も彼女たちはいるのだろうか、と繁華街で降りて、昨日の場所まで行ってみた。



今日も何組かのストリートミュージシャンが歌っていて、一生懸命路上を通る人たちに訴えかけようとしている人もいれば、一人マイペースに歌い続けている人もいた。

こういう世界を、俺は今まで知らなかったけれど、彼らはどうして歌っているのかな。



ラヴィコは、ホームページで『プロになりたい』と言っていたけど、ここにいるミュージシャンたちはみんなそう思っているのだろうか。



そうだとしたら、ミュージシャンってやつになるにはどれだけ狭い門をくぐらなければいけないのだろう。