コイビトは

…俺は少し、ひっかかりを感じて、その詩をまじまじと見た。何度も何度も読み返した。

Bメロの、


『田んぼ道を一人で歩く
ここならあなたに会えるかもしれない
もし会えたら、あなたの名前を呼んで
そしてナイフで刺してあげる』


というところが、どうしても、俺が高校生のとき、刺された状況と似ているような気がしてならない。

これを読んで、そのときの状況がよみがえって不快になった、というよりは、ただひたすら不思議な気持ちがしただけだが…
『刺してあげる』ということは、この詩を詠んでいるのが刺す方か…

この曲が、どんな曲調で、どんなメロディなのかが気になった。


聞いてみたい。
いや、聞かなければならない。俺にはなんとなく聞く権利があるように思えた。


それは、今から思えば、俺はこの歌詞と自分の体験が重なる不思議現象より、リディルルというボーカルと、もう一度会いたい、という気持ちのほうが強かったと思う。


この気持ちに名前はつけられなかったけれど…