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殺されかけたことがある。


それは高校に入ったばかりのころで、俺はまだ15歳だった。
今となっては笑える話だが、俺は高校生ってやつにあこがれていて、それはもう、女の子にモテたいと、人一倍思っていた。


「モテる男子の条件」を満たすため、部活に入る事にした。選んだのはバスケ部だ。
もともと運動は好きだし、中学のときもバスケ部だったから。


中学のころはクラスのほとんどが部活に入っていたが、高校で部活をやっているのはクラスの半分くらいだった。
特に運動部に入っている女子はとても少なくて、運動部だからといって、無条件でモテたりはしなかった。


部活は思った以上にキツくて、それは部活だけじゃなくて、最初からレベルの高い授業や宿題の量に睡眠時間は削られ、通学にも時間がかかることが積み重なって、五月ごろ、俺はいわゆる「五月病」と言われるような状態になっていた。


部活の先輩は、そんな俺の気持ちをわかってくれて、色々アドバイスをくれたけれど、俺は自分が情けなくて、そしてまた落ち込むという、悪循環に陥っていた。